こんにちは。ライターの山田です!
武芸川町では毎年4月の中旬の土日に「春の例大祭」が開催されます。氏子が奉納する花馬!屋形!馬の背中に取り付けた花を奪い合うという大変珍しいお祭りということで、しばしば新聞やテレビにも取り上げられ、例年多くの市民の方や観光客が訪れます。
残念ながら昨年、一昨年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止となり、4年ぶりの開催となりました!
しかし、実は花馬はお祭りのほんの一部。そもそも花馬まつりは武芸八幡宮の例大祭の行事の一つで、お祭り自体は2日間にわたって執り行われるんです。
今回は4月15日(土)、16日(日)の武芸八幡宮例大祭に完全密着しました!
1日目:前夜祭
2023年の花馬まつりは4月16日に開催されました。その前日である4月15日(土)には前夜祭が武芸八幡宮で執り行われました。
御旅所から本殿に向かいました。のぼりと灯りがともった提灯で、すでにお祭りらしい雰囲気が感じられます。
御旅所は第二鳥居と社務所に隣接しており、神様が年一回のお祭りの日に神輿に乗られてここまで旅をされます。
随神門から本殿に至る参道には90基の灯籠があり、そのすべてに火が灯されています。めったに見られない風景です。
まるで空港の滑走路のようです。この日はあいにくの雨模様でしたが、しっとりとした空気のなかで幻想的な雰囲気を味わえました。
宮司さんをはじめ参列者の方が集まっていました。
宮司さんが本殿に入られ、19時に厳かな雰囲気の中、前夜祭が執り行われました。南武芸部会長、八幡代表自治会長、八幡地区の各組自治会長や女性会長、消防団長など30名ほどの関係者が参列されています。外には見学者の方もいらっしゃいます。
お酒やお米、お野菜などのお供物を参列者が丁寧にお供えしていきます。
宮司さんが祝詞を挙げられ、参列者全員が神様に祈りを捧げます。
その後に執り行われたのが獅子舞の奉納です。獅子舞を被って
「ひゅーた!ひゅーた!」
と大声で叫びながら本殿の中をまわります。
もともとこの例大祭は秋に執り行われる、五穀豊穣を祝うお祭りでした。「ひゅーた」とは「(農作物が)増えた」という意味なんです。
獅子舞の頭を床に叩きつけながらまわるので、大きな音が響き渡りかなり迫力があります!
私も獅子舞を体験させていただきました!前が見えないなかで中腰になって本殿内を走り回らなければならないので、結構疲れました!
最後に宮司さんから挨拶があり、御神酒が参列者に振る舞われ、しめやかな雰囲気の中前夜祭が無事終了しました。
第一鳥居から八幡地区を縦断して御旅所に至る参道にも提灯のあかりが灯っています。4年ぶりの花馬まつり。「明日はどんなお祭りになるんだろう!」と胸をワクワクさせながら帰路に就きました。
2日目午前:例大祭・みゆき祭
4月16日(日)。この日は前日とは打って変わって晴天に恵まれたお祭り日より♪
8時ころ。武芸八幡宮の御旅所に行列に加わる神馬が到着しました。白い毛並みが非常に美しいです。神馬とは神様が乗られる馬のことで、お花を背負うお馬さんとは別です。
神馬の後ろで行列を率いるのは鎧武者。
この奥が旅御所。神様がお神輿に乗ってここまで旅をされることから、こう呼ばれるようになりました。神様が旅御所を訪れるのは、この例大祭の日だけです。
手を清める手水の儀を行い、これから本殿に向かいます。神馬、鎧武者、総代長、宮司、禰宜、祭員、巫女、唐櫃、献幣使、随員、太鼓、関係者(関市長や十ヵ村の長、部会長、自治会長など)、当元という順番です。
岐阜県天然記念物にも指定されている武芸八幡宮大杉の横を通ります。
そして例大祭がはじまります。武芸八幡宮のはじまりは養老元年(717年)とされていて、織田信長公とも非常にゆかりが深い、歴史ある神社なのです。
このお神輿に神様が乗られて先ほどご紹介した旅御所まで旅をされます。
見どころは巫女神楽の奉納。地元の小学生が巫女を勤めています。非常に華やかで美しい舞でした!
雅楽を奏でられているのも地域の方々。一生懸命練習をされているそうです。皆さんの力があってこそのお祭りなのだと実感させられます。
続いて執り行われるのがみゆき祭。お神輿が本殿の中央に移動し、神様が乗り移られます。
一方本殿の外にはお神輿を担ぐ屈強な男たちが集結しました。
お神輿に神様が移られ、いよいよ旅御所までの旅がはじまります。
厳かな雰囲気で一歩一歩あゆみを進めます。
普段閉鎖されている太鼓橋を渡ります。これを渡還御といいます。
太鼓橋は神様だけが渡ることができる橋です。武芸八幡宮の太鼓橋は非常に歴史があります。
神様が御旅所に入られます。こうして午前中の儀式は終了しました。この後、御旅所では御神楽が奉納されます。
2日目午後:花馬
さて、いよいよ午後になり、有名な花馬の時刻が迫ってきました。武芸八幡宮の境内や八幡の街を行き交う人も多くなり、お祭りらしい雰囲気になってきました。
お祭りといえば屋台。私も昼食を兼ねて食べ歩きをしてみました!
新型コロナウィルスの感染がおさまり、日常が戻りつつあるのを実感します。
所変わって第一鳥居を東に進んだところにある八幡公民館では、花馬の準備が着々と進められていました。こんなにも近くでお馬さんが見られます。
馬の背中にわらでできた鞍をつけ、そこに和紙でできた花を挿していきます。この花も地域のみなさんが手作りされているのです。
お祭りには子ども神輿も。子どもたちに人気のゲームキャラクターが描かれています!
準備が整ったら第一鳥居に一行が集まります。14時半ごろに御旅所に向けて、行列が出発します。
まずは子ども神輿。元気な掛け声が響きます。
そして鎧武者が率いる花馬の行列。
その後ろには屋形が続きます。
祭ばやしとともに、八幡の街なかを練り歩きます。
一行が御旅所に到着しました。
そして15時ころに花馬が入場!
人々が集まって馬の背中の花を奪い合います。
壮絶な奪い合い。喧嘩の様相です!
花を丸めて屋根の上に上げると雷が落ちない、家運が上昇するというご利益があるそうです。
あっという間に馬の背中から花がなくなりました。
走り回る馬に群がる人々。短くも非常に迫力が感じられました!
これでお祭りはおしまい。神様が本殿に戻られます。
今回のお祭りには尾関健治関市長もおみえになり、お祭り後に社務所で武芸八幡宮の知識が深いガイドの恩田正明さんと対談されました。
来年は武芸八幡宮の例大祭と花馬まつりに出かけてみてはいかが?
武芸川町で生まれ育ったので、子どもの頃から花馬まつりにはよく出かけていましたが、前夜祭や例大祭、みゆき祭を見たのははじめてです。これまで見てきた花馬まつりは、武芸八幡宮のお祭りのほんの一部だったんだなと実感させられました。
獅子舞の奉納にも参加させていただき、お祭りを間近で見て、武芸八幡宮の歴史に触れ、本当に良い経験ができたと思っています。ご協力いただきました恩田さん、八幡地区の皆さん、ありがとうございました!
今回は武芸八幡宮のお祭りを資料として残す目的もあり、写真や動画の撮影を行いました。3年間、新型コロナウィルスの影響でお祭りが開催できない状況が続きました。他にも社会情勢や人々の価値観の変化なども背景にあって、年々お祭りを存続させることが難しくなってきているそうです。そのような状況の中でも、地域の方々が協力しあって、なんとかお祭りを盛り上げようとされていたのが印象的でした。こうした伝統文化が存続できることを願うばかりです。
武芸八幡宮の例大祭と花馬まつりは毎年4月中旬の15日に近い土曜・日曜日に開催されています。
前夜祭の灯籠や獅子舞の奉納、例大祭、花馬・屋形の奉納、太鼓橋の開放、神輿行列など、普段は見られない光景をたくさん見ることができました!
見に来てくださる方が多ければお祭りも盛り上がり、伝統文化の存続にもつながります。ぜひ来年は、武芸八幡宮の例大祭と花馬まつりに出かけてみてください♪