ひと肌

「何でも人がつくることができる」をモットーに「味工房」を切り盛りするパワフルウーマン田下喜代さんに密着取材してきました!

こんにちは。武芸川まちづくり委員会の北です。今回は「味工房」を一人で切り盛りする武芸川町のパワフルウーマン、田下喜代さんを取り上げます。

まちづくり委員会の北がお届けします♪

武芸川まちづくり委員会のイベント時には必ずお呼びするほど大人気の「味工房」さん。

武芸川オータムフェス2022に出店していただいた際も大勢のお客様で賑わっていました。

「味工房」ではどのようなものが製造・販売されているのでしょう?

手作り味噌(しいたけ、山椒、ゆず、じゃこ入りなど)、惣菜(五目ごはん、栗ごはん、へぼめし、おはぎなど)、原木しいたけ、乾燥しいたけ、大豆、米、季節の野菜などを製造・販売しています。

武芸川オータムフェス2022にて。手作り惣菜、味噌、大豆、原木しいたけなどが所狭しと並んでいます。
手作り味噌は種類が豊富。全部試してみたいですね!
お買い得品ばかり!おはぎやぜんざいも大人気です!

「味工房」の販売品の中でもひときわ目を引く「原木しいたけ」は、なんと毎年3,000~4,000本を植菌し山で育てているそうです。

毎年、原木を高山市で購入し、春頃に菌打ちをして山に伏せます。収穫間近になったものは山から運んできて、自宅のしいたけハウスに移動します。

原木ごと販売。物珍しさに購入していく方も。自分で収穫体験できるので良いですよね!
しいたけハウス外観
原木しいたけが整然と並べられています。
たくさんのしいたけが生えています! 美味しそうですね!

「味工房」で製造するものの殆どが自家製とのことですが、田下さんは、原木しいたけの他に田んぼや畑も作ってみえます。

どのくらいの規模なのかお聞きしたところ、驚くことに米は7町歩(1町歩=3,000坪=6,000畳)、大豆も7町歩ほど作付しているそうです。

ただ、2町歩ほどは鳥獣被害で売り物にならないそうです。なんとまぁ、農業の厳しさを感じますね。

田下さんが「味工房」を始められたきっかけは何だったのでしょう?

「田下さ~ん!」「はーい!」ってこっちを向いている方が田下喜代さん

もともと、嫁ぎ先が農業(米や豆など)をしていたので、主婦の傍ら手伝っていました。

土地改良で補助金をいただいたのをきっかけに、中濃地域中濃農業改良普及センターの職員さんに色々アドバイスをもらい、せっかく作った大豆などの見た目が悪く売れないものを加工して使い切るということを考え始めたのです。

平成元年頃に味噌づくりを教えていただき教室を始めました。味噌づくり教室は口コミで広がって、今では県内外問わず大勢の人がやってくるようになりました。

「豆きんとん」で優秀賞を受賞!現在は予約限定製造になります。

平成14年頃には、センターの方に勧められて「健康によい食品づくりコンクール」に応募したところ「豆きんとん」で優秀賞を受賞しました。すごく励みになりましたね。

そのうち若い人に混じって調理師免許を取得し、菓子製造、飲食店営業など、いろいろな許可も取って岐阜に出ました。

ちょうどタイミングよく柳ヶ瀬のアーケード街復活の波にも乗れ、露天商の許可も新たに取得し店を出しました。そちらも評判になり、毎週土曜日は柳ヶ瀬で店を出しています。

味噌づくり教室を見学させて頂きました!

さて、ちょうど取材の日は味噌づくり教室が開催されていました。おばあちゃんとお孫さんで参加されたり、小さなお子さん連れの若いママなど4名の方の作業を見学させていただきました。

こちらの建物で味噌づくり教室が開催されていました。もくもくと大豆の良い香りが♪
味噌づくり工程① 大豆と黒豆を1:1の割合で混ぜ3時間ほど蒸しておく。
味噌づくり工程② 蒸した豆を大豆ミンサーにかけ、ミンチ状にする。
味噌づくり工程③ ミンチ状になった熱々の豆をひたすらしゃもじで混ぜて冷ます。
味噌づくり工程④ 自家製の米こうじを砕いて投入する。さらに手で細かく潰していく。

ちょっと休憩。血圧に効くという大豆の茹で汁を飲ませていただきました。コクがあってそのままでとても美味しかったです。

大豆の茹で汁は、コーヒーを淹れる時、水の代わりに使ってみても良いそうです。
味噌づくり工程⑤ 大豆の上に広げた米こうじに、さらに赤穂の塩をまんべんなくまぶす。
味噌づくり工程⑥ 米こうじと塩をまずしっかり混ぜる。
味噌づくり工程⑦ 米こうじと塩が混ざったら、下の大豆ミンチと混ぜ合わせる。しっかり混ぜたほうが味が良くなるそうです。
味噌づくり工程⑧ 混ぜにくいときは、大豆の茹で汁を少し混ぜてもOK。
味噌づくり工程⑨ 味噌玉にしていく。大きさは揃えなくても良い。重さを測るときと桶に詰めるときに便利なだけだそう。
10キロずつ測ってから、それぞれの持ち帰り容器に入れる。
味噌づくり工程⑩ アルコール等で消毒済みの容器に味噌玉を詰めていく。空気を抜くように上から押さえつけて平らにする。

写真はありませんが、さらに塩をふってラップでぴっちり密閉し、蓋をして持ち帰ります。

置き場所に注意し、3ヶ月~半年経ったら一度蓋を開けて確認してみるとよいそうです。

水が上がってきたら匂いを嗅いでみて、いい匂いがしていたらOK。色もだんだん味噌らしく茶色になってくるそうです。

万が一カビが発生していたら取り除いて除菌処理を施す。そして天地返しをしておくと良いそうです。皆さんに聞いてみたところ、だいたい1年物の味噌から使っていくそうです。最低でも1年は待たないと、ですね!

*味噌づくり教室に参加したい方は、電話で予約をお取りください。期間は1月~3月です。土日はすでに予約で埋まっている場合があります。

田下喜代さん。手作り味噌教室の合間にお話を伺いました。

一年間どのように働いていますか?

冬は天候が悪かったり農閑期に当たるので、原木しいたけの収穫や教室を兼ねて味噌づくりをしています。

春は田んぼが始まります。先にお話したように、原木しいたけの菌打ちも春に行います。

夏は田んぼの守りですね。草刈りなどやることがたくさんです。

秋は収穫ですね。しいたけは早いと9月ころから出荷します。

またイベントに呼ばれればどこでも行きます。毎週土曜日は一年を通して柳ヶ瀬で出店していますので、金曜日はその準備で忙しくしています。

その他、美濃市のみちくさ館に販売するものを置いていただいています。

宣伝などは殆どしていませんが、味噌づくり教室も柳ケ瀬の販売も、口コミで広がって電話がかかってきたりします。

お客さんのご要望に応じて品物を工夫することもあります。たくさんの方にご利用いただいています。ありがたいことです。

お話を伺っていると、本当に一年間休む暇もなく働いているような感じがしました。そこでお尋ねしてみました。

仕事以外で何かやっていますか?

「これ私。かなり昔の写真やな」と見せていただきました。

私はトラクターやコンバインに乗ることが好きなの。

30代の頃、男性に混ざって三田洞自動車学校で運転試験を受けたんですよ。だいたい何で女がいるんだよ、と馬鹿にされたりしたけど、私はグループ内2位で合格したんです。

ちなみに嫌なこと言ってた男性は本番で手が震えて不合格。痛快でしたね。

今日は寒いし雨だしやれることが無いなぁと思ったらアマゾンプライムビデオを見ています。会員になると何でも見れますから便利ですよね。

ちなみに何をご覧になりますか?と聞いてみたら、「アイアンマン」との回答!

意外な答えに驚きましたが、快活な田下さんなら「アイアンマン」も納得ですね!

今後挑戦してみたいことや、企画などありますか?

私のモットーは何でも人がつくることができるなんです。

主人が5年ほど前に亡くなりましたが、主人は私のやることに一切反対しなかったんです。

トラクターやコンバインを新しくしたいと相談すれば「ええぞ、ええぞ。」と言ってくれました。

次々やりたいと思うことにも、反対せず「やれやれ」と言って褒めてもくれました。おかげで今まで新しいことに挑戦し続けてこれたと思います。

ただ、体力的に難しくなってきたので、特に新しくこれをやろうということはありません。

今やっていることがこの先何年続けられるかわかりませんが、今年と同じようなことを次の年も出来たらいいなぁと思っています。

いよいよ身体が動かなくなってしまったら絵手紙でもやろうかしらと思うこともありますね。

 

まち肌的まとめ

田下喜代さん、お忙しい中、取材にご協力いただきありがとうございました!

今回このような機会をいただき、直接お話を伺えて良かったです。

まだまだお元気で活躍されることと思いますが、これまで頑張ってこられたご商売を、ぜひ、どなたかが引き継いでいかれると良いなぁと思いました。

取材以前にも、町内で田下さんを見かけることが何度もありました。

春は、田んぼや畑で颯爽とトラクターやコンバインを乗り回し、夏の暑い盛りには、しっかりUV対策をして草取りをしたり見回りをしたり、秋にはベストなタイミングで収穫を行う。本当によく働かれるカッコイイ女性だなぁと思っていました。

皆さんには、武芸川町にこんなパワフルなバイタリティ溢れた女性がいることを知っていただけたら幸いです。

 

Information

店名:味工房(あじこうぼう)

住所:岐阜県関市武芸川町小知野693-1

電話番号:0575-46-2151

営業時間:9時から17時

定休日:なし